


左写真、中央写真:2026年5月15日 聖心女子大学28番教室にて、Dr. Zanettiによる研究成果報告会
右写真:2026年3月5日 聖心女子大学グリーンパーラーにて、Dr. Zanettiによる子どもの哲学セミナー
大学院人間科学専攻教育研究領域では、2026年2月から5月までの3ヶ月間、イタリアのボローニャ大学教育学部で教育哲学の講師を務めるLuca Zanetti先生を特別研究員として受け入れました。Zanetti先生は、ボローニャ大学の若手研究者の在外研究を支援する「マルコ・ポーロ・プログラム」の助成を受けて初来日しました。かねてより日本の京都学派の思想や、合気道をはじめ日本独自の身体教育に関心をもって研究に取り組んできたZanetti先生ですが、今回の日本における主な研究テーマは、日本における子どもの哲学対話の教育実践をイタリアその他の諸外国における実践と比較することでした。子どもの哲学対話は、米国発のphilosophy for & with childrenを略してp4cもしくはP4wCとして世界に広まっていますが、日本では、東日本大震災後、被災地を訪れたハワイのp4c専門家との協働のもとで発展した東北地方でのP4Cの取り組みが近年注目されています。
Zanetti先生は2026年3月5日、本学グリーンパーラーにて、子どもの哲学対話に関するセミナーを開催し、子どもの哲学対話における「問い」のあり方や、イタリアの小学生との哲学対話の実践事例を紹介してくださいました。その後は日本国内のp4cの研究者へのインタビューや、実践家への質問紙調査等に積極的に取り組むとともに、合気道や即興舞踏、身体教育などのセミナーにも参加し、「思考は身体から切り離すことはできない。身体全体が思考している。」ということを体感できたようです。
5月15日には28番教室にてその研究成果について教育学科の学生、院生、教職員等に報告してくださいました。マルコ・ポーロの『東方見聞録』に因んで、日本での旅行記も交えた報告をお願いしたところ、日本各地のp4cや身体教育の専門家との交流から学んだことに加えて、鎌倉、日光、仙台、松島、平泉、恐山、京都、奈良等への旅で遭遇した印象的な風景についても紹介してくださいました。
Zanetti先生のお話を伺った参加者からは、次のような感想が寄せられました。
「現代の日本では「考える力」を重視しており、ただ暗記するという教育から少しずつ変化があるように感じています。その変化を推し進めるのが哲学対話のような抽象的な問いや、オープン・クエスチョン的な問いを投げかけたりすることだと思います。自分の模擬授業でも取り入れてみたいです。」
「日本と西洋文化の価値観の相違と類似についてとても考えさせられました。日本で暮らしていても知らないことばかりで、外国人だからこそ気づくこともあり、勉強になりました。」
これを機会に、ボローニャ大学教育学部との研究交流の発展につなげていきたいと考えています。
(教育学科教授 澤野由紀子)